GDPR について調べたことをここにメモします。
GDPR
GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則) は、EU(欧州連合)および EEA(欧州経済領域)内の個人データを保護し、プライバシー権を強化するための法律 です。2016年に採択され、2018年5月25日に施行 されました。
GDPR の適用範囲
GDPR は、EU 域内の個人のデータを処理するすべての企業や組織 に適用されます。
以下のようなケースでも適用されます:
- EU域内に拠点を持つ企業
- 例:フランスにオフィスがある日本企業が現地の顧客情報を扱う場合。
- EU域外の企業でも、EU市民のデータを扱う場合
- 例:EUの顧客向けにサービスを提供するアメリカや日本の企業。
- EU内の個人のデータを処理するすべての組織
- 例:EU市民向けにオンラインショップを運営する企業。
GDPR の主な要件
GDPR には、個人データを扱う際に守るべき 主要な原則や義務があります。
個人データの定義
GDPRでは、以下のような情報を 「個人データ(Personal Data)」 として扱います。
- 氏名
- 住所
- メールアドレス
- 電話番号
- IPアドレス
- クッキー情報
- 位置情報
- 健康情報 など
データ処理の6つの合法的根拠
個人データを収集・処理するには、以下のいずれかの合法的根拠(Lawful Basis)が必要です。
- 本人の同意(Consent)
- 例:WebサイトのCookie同意バナー。
- 契約の履行(Contract)
- 例:商品購入時の支払い情報。
- 法的義務(Legal Obligation)
- 例:税務申告のためのデータ保存。
- 重大な利益保護(Vital Interests)
- 例:緊急医療データの処理。
- 公的機関の業務(Public Task)
- 例:警察の犯罪捜査データ。
- 正当な利益(Legitimate Interests)
- 例:不正アクセス防止のためのログ監視。
データ主体の権利
GDPRでは、個人(データ主体)に以下の 8つの権利 を保証しています。
- アクセス権(Right to Access)
- 自分のデータがどのように処理されているか確認できる。
- 訂正権(Right to Rectification)
- 不正確なデータを修正できる。
- 消去権(Right to Erasure, 「忘れられる権利」)
- データの削除を要求できる。
- 処理制限権(Right to Restriction of Processing)
- データ処理を一時的に制限できる。
- データポータビリティ権(Right to Data Portability)
- 自分のデータを他のサービスに移行できる。
- 異議申し立て権(Right to Object)
- 特定のデータ処理(マーケティングなど)を拒否できる。
- 自動意思決定の拒否権(Right to Object to Automated Decision Making)
- AIによる自動判断に異議を申し立てできる。
- 通知を受ける権利(Right to be Informed)
- データの利用目的を知らされる。
データ漏洩時の対応
企業は72時間以内 に監督機関(Data Protection Authority)へ報告する義務があります。
DPO(データ保護責任者)の設置
大規模なデータ処理を行う企業は DPO(Data Protection Officer:データ保護責任者) を任命する必要があります。
GDPR 違反時の罰則
GDPRに違反した場合、以下の 厳しい罰則 が課せられます。
- 最大2,000万ユーロ(約30億円)または年間売上高の4%の高い方
- 例:GoogleはGDPR違反で5000万ユーロの罰金
- 軽度の違反でも最大1,000万ユーロまたは年間売上高の2%
- 例:適切なデータ管理を怠った場合
GDPR対応のポイント
企業が考慮する GDPR に対応するための基本的な対策です。
- プライバシーポリシーの更新
- GDPRに準拠したポリシーを作成。
- データの取得と処理の適正化
- 不要なデータを収集しない。
- データ削除の仕組みを整備
- ユーザーが簡単にデータ削除を依頼できるようにする。
- 適切なセキュリティ対策
- 暗号化やアクセス制限を導入。
- データ処理記録の保持
- どのデータをどのように処理しているか文書化。
- DPOの設置(必要な場合)
- 個人データを大量に扱う企業はDPOを配置。
GDPR と日本の関係について(APPIとの違い)
日本では 個人情報保護法(APPI:Act on the Protection of Personal Information) があり、GDPR と類似しています。
しかし、日本の APPI は データ主体の権利が GDPR より限定的 であり、データ移転規制が緩やかです。
EU と日本は 「十分性認定」 を結んでおり、日本の企業は 特別な手続きなし で EU のデータを取り扱えます。